別誂えの和竿 その弐

今回はフィッシングレポートではありません。

既製品ではなく自分だけの調子、仕上げなどオーダーメイドで和竿(竹竿)を

竿師に注文して作らせることを別誂え(べつあつらえ、べっちょう)などと呼びますが

船づり館ではどのようにして別誂え竿を制作していくかその過程というか手順というか

ご紹介していきたいと思います。今回が2回目です。

これを読んでいただき自分だけの竿を作り出し

自分だけの魚とのアプローチを楽しむ事ができれば

今まで (釣れる=楽しい、釣れない=つまらない等) とは違った

釣りの世界が広がる事でしょう。


さて前週の続きです。4月27日(水)休日を利用して正勇さんの仕事場に3ヶ月ぶりに

訪れました。





写真は仕事中の正勇さんです。

今年の始めに材料を選んだ一対の鯊中通し竿の仮継ぎを見せてもらいました。

私との打ち合わせ通りに竿の調子、握りの長さ等出来上がっていました。

この竿を預かってお客様の了解を取ればOKです。

ですが正勇さんは別の布袋竹の仮継ぎを4本出してその中から一本を取り上げ

この竿を基準にしてもう一組一対の鯊中通し竿が組めると言います。

今年の始めに材料を選んだ時に一対の候補になった材料達です。

一本一本は優れた竹ですが対にするには左右の調子が違い対竿を組むのは

難しいと考えていましたが確かに正勇さんの選んだ一本を中心にもう一本を選ぶと

元竿の節は二本揃わないものの穂先と二番の節はほぼ合う竹でなおかつ

全体の調子も同じような対の竿が一組できました。

一組の竿を見せて良い悪いを判断してもらうよりもできる限り二組を見せてどちらかを

選んでもらうのが竿師正勇さんのスタイルのようです。



お客様にはこの二組の内のどちらかを選んでいただくことにして仮継ぎの竿を

船づり館に運びました。

ゴールデンウイークの最中お客様はご来店になり仮継ぎの竿を二組見ていただきました。



竿を伸ばして写っているのが今年の始め正勇さんと選んだ一対です。

たたんである竿が仮継ぎを取りにいった時に選んだ一対です。

竹は天然素材なので左右完全な対称の対竿はできません。

竿にオモリを下げて調子をみたり節の並びが対称なところ、対称でないところを

詳しく説明してじっくり選んでいただきます。

二本の竿がほぼ同じ感覚で使える写真左側の竿をお客様は選ばれました。

竿の調子にも満足なご様子でした。

これだけ同じような材料をよく探してきましたねと労っていただき

嬉しかったと同時に肩の荷が降りてホッとしました。



お客様が選ばれた竿の仮継ぎです。

翌日、正勇さんが注文の竿を引き取りに来ました。

再度仕上げの仕様の確認をおこない竿を手渡します。

後はじっくりとウルシを塗り重ねて素晴らしい竿に仕上げてもらうのを待つだけです。

船づり館ではこのようにして別誂え竿のご注文を受けています。

船づり館における別誂え竿制作の簡単な流れです。

ご注文→仮継ぎ→調子等をお客様がご確認→仕上げ

価格は竿の種類、仕様にもよりますが店頭の同品のおおよそ1.5倍以上となります。

仮継ぎの前にだいたいの価格を、また仮継ぎを見ていただく時には決着価格をご提示できます。

代金のお支払方法は仮継ぎをお客様が了解された時点で

お内金をご入金していただく場合がほとんどです。

以上のような流れで別誂え竿のご注文を承っております。

自分の好みの調子、色に仕上げた別誂え竿で釣りに出掛けてみませんか!

釣りに集中してきっと誰々さんより釣れたとか釣れなかったとか

竿頭になれたとかなれなかったとかそんなことは少しも気にならなくなって

目の前の魚と自分だけの世界に入れますよ。一人で仕立船に乗っているような

ゆったりとした気分に浸れますよ。

船づり館がバッチリサポートします。是非ご検討下さい!

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